消えちゃえ







「じゃあまた明日。」
「ああまたな。朝倉。」


数日前から、同じクラスの男子と付き合い始めた。
キョンって変わったあだ名の。

好きになったのはわたしから。
思いきって放課後の教室で告白したら

「俺も好きだ。」って

答えてくれて。


すごく嬉しい。



こうやって手を繋いで、
肩を並べて、また明日も一緒に放課後にデートするの。


キョン君と一緒に。



翌日。



「おはよ、キョン君。」
「よう。」



窓際のいちばんうしろの席にはもうキョン君がいた。



昨日と同じ優しい笑顔で答えてくれた。



大好き。



「ねえ、今日は私の家に来ない?

放課後授業がおわったら、すぐに。」

両親はいないの。



「…ああ。」



うふふ、照れてる。
かわいいな。



「そうだ、それからキョン君。」
「何だよ?」


「私の事はちゃんと名前で呼んで。恋人でしょ?」



彼女みたいに。


「分かったよ。」





「…涼子。」





うふ。


あはは。


あはははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははは




はは…





『やだなあ、どうしてこんな夢ばかり見るのかしら。』



目をさますと、記憶データだけの私。
なんだか奇妙な夢を繰り返し見てるわ。


見るたびにないはずの胸部に熱を感じるの。


目が醒めると痛くてしかたないわ。


痛覚なんてないのに
おかしいわね。




ねえ、お願いだから。
叶うはずない夢なんか見せないで。


後悔なんてしたらもっと痛いだけじゃないの。



こんな夢を見せる記憶なんて消えちゃえばいいのに。




それがだめならいっそ



もう夢から醒まさないで





私を 消して。




end


切ない朝倉さん。朝倉さんに夢を見ていますねえ…。
自分ではかなり気に入ってます。(笑)



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